これは社会風刺で、アートな映画なのか?と思われるかもしれませんが、リッキーが撮った「ビニール袋」と、実は○女だったジェーンの友人によって、「醜い」日常の中に隠されていた奇跡(実は現実なのだが)を見せてくれる傑作映画です。ビニール袋などの小道具(?)で現実認識をひっくり返すという意味で、非常にアート的だと思います。

以下、ネタバレ
こんなシーン、映画にするなよ…と思ったところもありますが(笑)、

何と言っても、サイコ系と思われていた隣の青年が見出した「ビニール袋の美」。彼はそこに人間の存在を見ているのですが、あらゆるものの背後には、生命と慈悲があって、恐れることはないと分かったと言う。とても哲学的な青年だ。自分を見出せなかったジェーンは、ここで、彼の眼差し(盗撮だけど;)の意味がわかったに違いない。

「(成功者としての)豊かな生活」を目指すレスターの妻、キャロリンが、イタリア製の高級ソファーを、レスター以上に大事にしていることとは対照的なのも面白い。レスターも、そんなインテリア商品(消費財)を「ただの物だ!」と言っていることを考えると(自分はちゃっかり新車を購入)、いかに、「モノを持つことが豊さだ」という価値観に家庭が晒されてきたのかが分かる。フォード主義→ポストフォード主義を勉強すれば、この価値観の形成のされ方が分かるのかもしれない。日本における「仕事で自己実現」「消費で自己実現」にも関わってくるとか…。幼いころ貧乏だったことがコンプレックスのキャロリンは、夫が仕事を辞めたことで、ますますパニックになり、「不動産王」と不倫へ…。最後は、夫の死体を目の当たりにして愕然とし、泣き崩れます。

ジェーンの友人(アンジェラ)とレスターの関係性は、はじめは危ない方向でしたが、アンジェラの真実を知ってから、レスターは父親らしさを取り戻し、アンジェラもまた、「美しい」と素直に言われたことによって、落ち着きを取り戻します。

「誰か」もしくは「何か」を通して初めて気がつく、存在することの「美」。この映画はこのことを教えてくれます。
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日本画はやっぱりこの方だわ…と素人ながら思います

霧のかかった碧い山が好き…。

鳥のさえずりや、かすかに揺れる梢のそよぎのみがこだまする空間に、ただ一人佇んでいるような気がするのです…。

「寂しい…」「恐ろしい」などという感情はそこにはなく、今存在していること(もの)は神秘的で美しいと思えるような…。こんな「孤独感」って、とても贅沢な気もしますが、自分もこの静寂の中に身を浸してみたい…。
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