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シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々

シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々

ジェレミー・マーサー / 河出書房新社

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森山大道氏の本と一緒に、「ブクブク交換」に持って行った本。時間オーバーで、ほとんど紹介できなかったのが残念…007.gifまたもや反省。。言いたいことを時間内に収めるよう、精進いたします…。

さて、このシェイクスピア&カンパニー書店は、実在するパリの本屋さんなのですが、本の販売だけではなく、1万冊の蔵書を持つ英語文学専門の図書室も併設し、朗読会などのイベントも開催しています。さらに、住む家のない貧しい物書きを宿泊させるベッド等も用意されており、この場所が、本の文化や作家を育てる孵化器のような役割を果たしています。

この本で紹介されているシェイクスピア&カンパニー書店は実は2代目にあたり、初代は1919年にアメリカ人女性シルヴィア・ビーチによって開かれたものになります。アーネスト・ヘミングウェイ、スコット・フィッツジェラルド、マン・レイ、ジェイムズ・ジョイスといった著名な作家が利用しており、ヘミングウェイの『移動祝祭日』ではこの書店が言及されているほどです。

2代目のシェイクスピア&カンパニー書店は、社会主義に傾倒する同じくアメリカ人の男性、ジョージ・ウィットマンが経営しているのですが、この方の人柄や経営手腕(と言えるか謎ですが;)などが、カナダ人の元新聞記者(主に犯罪を扱っていた)ジェレミー・マーサーが鋭い観察眼と洞察力を持って、生き生きと描き出しています。この作者自体、あるきっかけで、実際にこの書店に身を寄せる羽目になるため、店主のジョージだけでなく、パリの街並み、食べ物のこと、書店の住人のこと、書店の存続危機といったことが、実際の体験をもとに広い視野で描かれており、パリでの生活が現実のものとして頭の中で組み立てられていくところが、とても良かったです。

「冷たい雨の夜にパリの街にやってきてシェイクスピア&カンパニー書店を見つけたらほっとするかもしれません

そこにはたいそう親切で賢明なモットーがあるのです
見知らぬ人に冷たくするな
変装した天使かもしれないから」

というのが、このお店の公式ソングのようですが、癒し系のお店ではなく、実際は店主も含め、個性的でちょっと(?)風変わりな人たちがたくさん出てきます。でも、この作者によってそれが全て愛おしくなるから不思議。書店の危機に際し、ジョージが、司書に本の目録を作ってほしいと考えていたことも、欧米の司書のレベルの高さを感じ、刺激になりました。こちらもおススメの1冊です。
by fresh-mango | 2012-11-18 22:26 | 交流を楽しむ | Trackback | Comments(0)

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